【お江戸便り②】本物に触れ、心が動く一日 東西アンティーク、そして能の美

皆さま、おはようございます! 着物923(くにさん)こと、茨木國夫です。
東京出張も早いもので、3日目の雨の朝を迎えました。 本日は、昨日・出張2日目の充実した一日を振り返る「お江戸便り②」をお届けします。

昨日の朝、「午前中は降水確率10%」の予報を信じて、早朝から少し足を伸ばしてきました。 今回滞在している大森から歩いて20分ほど、大井競馬場に隣接する駐車場のガレージで開催されている「骨董市(フリーマーケット)」です。 朝の澄んだ空気の中、ちょうどいい散歩の時間になりました。

行ってみると、規模も大きくまさにアメリカのガレージセールのような賑やかさ! 出店者の方々がマイカーのトランクから次々と品物を取り出して、駐車場1台分ほどの限られたスペースに上手に並べていらっしゃいます。 本格的な骨董というよりはお洋服や靴、雑貨などが多かったのですが、これもまた一つの文化です。初めての場所に来た記念にと、雲の箸置きをひとつだけゲット。 僕的には「なるほど、こういう世界もあるんだな」と、とても勉強になる時間でした。

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その後は一度ホテルへ戻り、アークヒルズ(全日空ホテル近く)で開催されていた西洋アンティークの展覧会へ! 僕自身、日本や中国、韓国の古いものも大好きですが、やっぱり洋の「お洒落さ」といえばイギリスなどのアンティークです。和の國の調度品もイギリス製が多く存在します。 そちらでも、思わず目が留まる面白いものに出会い、納得して買い求めてきました。 またいつか、和の國のどこかでさりげなく使い、皆さまにも楽しんでいただけたらと思っています。

それにしても、朝の大井競馬場のざっくばらんなガレージセールと、赤坂・六本木のアークヒルズの西洋アンティーク。 わずか数時間の間に、全く対照的な二つの「古いものを愛する世界」に触れることができ、東京の多様さと奥深さを改めて感じる面白い体験になりました。

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そして夕方からは、表参道の銕仙会(てっせんかい)能楽研修所へ。 今回は、本能(ほんのう)の『融(とおる)』をじっくりと鑑賞してきました。

シテ方(舞人)をはじめ、笛、太鼓、小鼓などの鳴り物、そして地謡(じうた)。 すべての演者の呼吸感が、指揮者もいない中で完全に一つになり、一つの世界を作り上げていく。 それぞれが自分の感覚を極限まで研ぎ澄ませながらも、決して出すぎず、お互いに寄り添い合って調和していきます。

特に圧巻だったのは、最後の結びの瞬間でした。 「名残り惜しの面影」という地謡の言葉とともに、舞人と、唄と、笛や太鼓の鳴り物が、究極の呼吸で一瞬にしてピタッと一度に止まるのです。 その瞬間、思わず「はぁ、すごい……っ!」と息を呑み、胸の奥から湧き上がる感動で鳥肌が立ちました。 まるで舞台の中にすっぽり引き込まれて、世界そのものがピタッと静止したかのような感覚でした。

そして音が止んだあと、何事もなかったかのように粛々と立ち去っていく姿。 音のない静寂と、そこに色濃く残る名残惜しい余韻――。 この張り詰めた静けさのコントラストこそが、400年以上受け継がれてきた日本人の究極の美学なのだと、深く胸に刻まれました。

今回は、素晴らしい装束(しょうぞく)をつけての舞でした。
僕が普段お稽古しているのは、装束をつけずに紋服で舞う「舞囃子(まいばやし)」ですが、本物の舞台を目にしたことで、多くの気づきをいただきました。 例えば、舞囃子の1つの大きなリズムの舞が終わった後、演者が観衆に背を向けて、しばらく鳴り物だけが響く時間があります。 「あの時間は、後見(こうけん)の方が装束の後ろをチェックしながら、演者自身が『さあ、次の舞台へ』と心を整えるための、とても大切な時間なんだな」と、外から見ているだけでは分からなかった舞台裏の呼吸が、すとんと胸に落ちてきました。

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やっぱり、本物に触れるというのは何よりの勉強になります。 これまで何度も能の舞台を観てきましたが、「自分が実際に舞う」という当事者の視点を持って観ることで、気づくこと、感じる深さが全く違います。 能の持つ想像力や感性を磨く力、そして神仏や仏教との深い関わり。 知れば知るほど、その測り知れない魅力にどんどん惹き込まれていきます。

まだまだ未熟で、本当に「なんちゃって」の僕ではありますが、来年1月31日(日)に、一つの大きな挑戦が控えています。 横浜能楽堂の舞台で、舞囃子「高砂(たかさご)」を舞わせていただきます。 今の僕のレベルからしたら、これはもう、目隠しでバンジージャンプを飛ぶような、とんでもない挑戦です。 でも、毎日コツコツとお稽古に励み、その壁を乗り越えた先に一体どんな景色が見えるのか、自分がどんな気持ちになるのか、見てみたい、感じてみたいと思っています。

もしよろしければ、1月31日、横浜能楽堂にお越しいただければ、これほど心強いことはありません。

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気づけば昨日もたくさん、1万6000歩でした。 お江戸便りの2日目はここまで。
本日は、横浜の能のお師匠さんのところへ、特別稽古をつけてもらいに行ってきます!
また良いご報告ができるよう、精一杯汗を流してきます。

それでは、今日も感謝を込めて…。 皆さま、ごきげんよう!