皆さん、おはようございます! 着物923(くにさん)こと、茨木國夫です。
9月も半ばに入り、爽やかな秋晴れの心地よい日曜日となりましたね。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか😀
先週の「ホテル日航熊本」に続き、今朝も早朝から車を走らせてまいりました!
向かったのは、熊本駅白川口から徒歩わずか3分ほどのゲストハウス式結婚式場「翠楓(すいふう)シーズンズテラス」さんです。「光・水・緑」が美しく調和したモダンな空間で、足を踏み入れるだけで祝福の空気に包まれるような素晴らしい場所のようです。
本日10時からの挙式に向け、お控え室をお借りしてカミさん(ゆり女将)が3名様の黒留袖の着付けを担当するため、朝7時前に式場まで送り届けてきました。 と言っても、車はその駐車場において選手交代。僕は散歩を兼ねて、股関節の声を聴きながら45分かけて和の國に入りました。
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少し余談になりますが、お着付けは当日の技術だけでなく前日までの準備がとても大切です。特に襦袢の衿がどうなっているか?(広衿、バチ衿)、腰紐、足袋などの小物一式に至るまで丁寧に確認を重ねていきます。
昨夜、準備を終えたカミさんが「やっぱり和の國でお求めいただいたお留袖と貸衣装とでは、柄の美しさはもちろん、生地の質感が全然違うね」と、ぽつりと呟いていました。 僕たちにとっては、当たり前のことですが、手仕事の染めや上質な生地が持つ「着心地や佇まい」はやはり格別なものがあると、呉服屋としても改めて実感した瞬間でした。
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さて、本題。今日はその②です。
四国・高松市の根津美和子さんの工房を訪ねて、いろいろなお話を伺っていると、どうやら根津さんには「好き」がはっきりしていることが分かってきました。
その一つが、「縦糸(たていと)が好き」ということ。
縞文様だったり、縦のラインだったり。
着物の中にすっと伸びる縦の線に、根津さんはひかれるのだそうです。
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ただ、縞文様を織ればいいというわけではありません。
根津さんが工夫しているのが、「ずらし絣(かすり)」。
少しずつ位置をずらしながら糸を組み合わせることで、単純な縞ではない、微妙な変化やグラデーションが生まれます。
遠くから見ると、すっと美しい。
近づいて見ると、「あれ? こんなふうになっているんだ」と、細かな表情に気づきます。
この「遠目の美しさ」と「近くで見たときの発見」。
そこに、手仕事ならではの面白さと小さな感動があります。
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そして、根津さんの色。
これがまた、なんとも言えないのです。
桃や梅、桜の枝や皮。クサギ(臭木)、夜叉(ヤシャ)など地元に自生する樹木がメインです。
自然の中にある植物から色をいただき、糸を染めていきます。
化学的に強い色をドンと置くのではなく、植物が持っている色の気配を、そっと布の中に残していく。
だからでしょうか。。。
根津さんの色には、柔らかな透明感があります。
そして、僕が「なるほど」と思ったのが、「上品さの中に、ほんの少し色気を入れたい」
というお話。
唸りつつ、、、これ、着物にはとても大切なことだと思い入りました。
派手ではない。
でも、なんとなく目に留まる。
上品だけれど、どこか艶がある。
「この色は、何色ですか?」と聞いても、一言では説明しにくい。
そんな色の奥行きが、植物染めの魅力なのかもしれません。
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さらに工房で目を引いたのが、沖縄の機(はた)や、仕掛け機、そして糸綜絖(花綜絖)などの道具です。
布を織るというと、ただ縦糸と横糸を交差させていくイメージがあります。
ところが、実際にはそう単純ではありません。
糸の動きを工夫し、組み合わせを変え、そこに立体感を生み出していく。
根津さんが取り組む花織にも、そうした手仕事の面白さがたっぷり詰まっています。
布なのに、どこか花が浮かび上がって見える。
光の当たり方によって表情まで変わります。
こればかりは、写真だけではなかなか伝わりません。
やはり、実物を見ていただきたいと思います。
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そして、面白いのがここからです。
根津さんは、頭の中に描いたものを、ただ感覚だけで織っているわけではありません。
ちゃんと計算されます。
しかも、その計算に使うのが――携帯電話の機能です。
「昔は計算機だったんだけどね。」
と笑いながら、携帯で数字を確認していく。
頭の中には感性をお持ちです。
けれど、それを実際の布にするには、正確な計算が必要になります。
感性と計算。
一見、正反対のようですが、この二つが一緒になって、根津さんの布になるのです。
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工房を訪ねる前は、僕も「手織りの作品」として見ていました。
でも、話を聞いた後では、少し見方が変わりました。
一本一本の糸の向こう側に、
「ここをこうしたい」
「この色を出したい」
「この線をもう少し動かしたい」
そんな作り手の思考と工夫があります。
だから、布を見ることがとても面白く感じます。
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そして、次回はいよいよ最終回です。
根津美和子さんが身を置いてきた「国画会」という世界についてです。
そこには、いわゆる「先生に教えてもらう」という世界とは、少し違った空気がありました。
聞けば、「こうしてください」と答えを教えてもらうのではなく、すべて「自分で考えて、自分で解決する」そんな世界だったそうです。
これも、なかなか興味深い話です。
次回は、根津さんの「芯の強さ」がどこから来るのか、そのルーツをたどります。
