65歳の今、身体から教えてもらったこと

みなさん、こんにちは! 着物923(くにさん)こと、茨木國夫です。
今日は、「枕」は無しで、いきなり本題から入らせていただきます。

唐突ですが、皆さま、今日、8月21日が何の日かご存じでしょうか?

実は今日の午後、僕は「股関節の手術」を受ける予定だったのです😀
ところが今、僕は手術室ではなく、こうして皆さまにこの文章を書いています。
結果から申し上げますと、今回、手術を回避することになり、現在は、リハビリや身体のケアを重ねながら、自分の身体と向き合っています。

もちろん、これから先のことは分かりません。痛みが出る日もありますし、「やっぱり手術を受けたほうが楽だったのかな……」と心が揺れることもあります。それでも、ここまで身体と向き合ってきた中で、僕にとって大きな発見がいくつもありました。
今日は、そのことを皆さまにお話ししたいと思います。

まずは、身体を「ゆるめる」ことから

一番最初は、凝り固まった筋肉をゆるめ、ほぐすことからのスタートでした。仰向けに寝て、ふぅーっと息を吐きながら背中と腰を畳にピタッとつける。四つんばいになって、手と背中をすーっと伸ばす。両膝を立てて、お尻を少し浮かせる。

どれも、決して激しい運動ではありません。「こんなに地味な動きで、本当に大丈夫なのだろうか……😅」最初は、正直そんな気持ちでした。それでも、基本の「の」の字ストレッチを毎日のルーティンにして、焦らず、丁寧に身体をほぐしていきました。
すると少しずつ、身体の感覚が変わってきたのです。そこで初めて、「身体というものは、急に変えるのではなく、一つひとつ丁寧に向き合っていくものなんだな」と感じました。

次に気づいたのは、「横の動き」の大切さ

身体が少しずつほぐれてくると、今度は可動域を広げるストレッチへと進みました。ここで僕が気づいたのが、股関節は「縦の動き」だけではなく、「横の動き」も大切だということでした。
腰を左右に振る。僕の場合、特に左に振ったときには、強い痛みが走っていました。あの誰もが知っている「ラジオ体操第1」をするだけでも、痛みが出るほどでした。

ところが、無理をしない範囲で少しずつ身体を動かし、ほぐしていくうちに、その痛みも少しずつ変化していきました。「縦だけではなく、多方向に身体を動かしてあげることが、こんなにも大切だったのか!」と実感したと同時に、全身の関節をバランスよく動かす「ラジオ体操」の凄さも、改めて感じました。

子どもの頃から当たり前のように知っていたラジオ体操ですが、65歳になった今、まったく違う意味で、その価値を感じています。

下駄から靴へ。そして、歩き方まで変わった

さらに、ストレッチを指導してくださっている先生から、「できる範囲でいいので、履き物を『靴』に変えたほうがいいですよ」とアドバイスをいただきました。普段はお着物に下駄や雪駄というのが当たり前の僕ですから、最初は少し違和感がありました。
ところが、実際に靴を履いて歩いてみると、下駄や雪駄とは違い、ソールにクッション性があります。歩いたときの衝撃が、以前とは違うのです。「クッション性があるかないかで、こんなにも身体への感じ方が変わるのか!」まさに、目から鱗でした。

もっとも、慣れない靴を履いたことで、右足のカカトにマメができましたけれども😅 そして、もう一つ大きな気づきがありました。それは、「歩き方」です。


これまで僕は、自分なりに「カカトから足をつけて、つま先へ抜ける」という歩き方を意識していました。お仕舞いにも役立つと思い、立ってパソコン作業をするときなども、その姿勢を実践していました。
ところが、それが自分の身体には負担になっていたのかもしれない。そこに気づかされたのです。そこで意識するようになったのが、「丹田」でした。

身体の中心にある丹田を意識して歩く。最初は、それまでとは違う筋肉を使うため、少し違和感もありました。でも、少しずつ身体の感覚が変わってきました。
今では、自分の身体に合った「丹田を意識した歩き方」へと、少しずつつながっているように感じています。

そして、思いがけない嬉しい変化が。。。

そうして、①ほぐす、②ストレッチをする、③履き物を見直す、④丹田を意識して歩く、というように、一段ずつ階段を上るように身体と向き合っていきました。
すると、思いがけない嬉しい変化もありました。65歳という年齢もあり、以前は夜中に1〜2回、トイレに起きることが増えていました。「加齢によるものだから、仕方がないのかな」そんなふうに思っていたのです。

ところが、身体を動かす習慣やケアを続ける中で、僕自身は、夜中に起きることが少なくなってきました。今では、たまに週1回あるかないか程度です。
しかも、寝室ではエアコンをつけていません。それでも、この暑い夏の時期に、朝までぐっすり眠れる日が増えた。これは僕にとって、とても嬉しい変化でした。

もちろん、これはあくまでも僕自身が感じた変化です。でも、自分の身体に少しずつ手をかけてあげることで、こんなにも嬉しい発見があるのだと実感しています。

手術を受けるはずだった今日だからこそ

痛みが強く出る日には、正直、「やっぱり手術を受けたほうが楽だったのかな……」と心が揺れることもあります。数日前も、そうでした。
それでも、もしあのまま手術を受けていたら、今こうして自分の身体の動きや癖について、一つひとつ考える時間を持つことはなかったかもしれません。今回の経験を通して、僕は身体について、たくさんのことを教えてもらいました。

そして何より大きかったのが、長年大切にしてきた「丹田」というものが、自分の中で改めてつながってきたことです。
僕にとって丹田は、これまでもお着物を着こなす上で、とても大切にしてきたキーワードでした。ところが今回、自分の痛みと向き合う中で、「深呼吸と丹田」「歩くことと丹田」「お着物と丹田」。これらが、僕の中で一本の線につながってきたように感じています。

お着物を着ることも、歩くことも、呼吸することも、すべて別々のことではない。身体の中心を意識することで、一つにつながっていく。これは、65歳になった今だからこそ感じられたことなのかもしれません。

70歳になってからではなく、65歳の「今」

今回の股関節の痛みは、僕にとって決して楽な経験ではありませんでした。でも、振り返ってみると、とても大きな贈り物をもらったようにも感じています。それは、「これからの人生を、どう歩いていくのか」を考えるきっかけをもらったことです。

70歳になってから、75歳になってから、「身体が思うように動かない……」と途方に暮れるのではなく、65歳の「今」、自分の身体と向き合うことができた。これは、僕にとって本当にありがたいことでした。
これから先、20年、25年。元気に和の國でお客様をお迎えしたい。大好きなお着物のことを、もっともっと皆さまにお伝えしたい。そして、情熱を持って仕事を続けていきたい。

そのためにも、「自分の身体」に素直に心を寄せる。そんなことを、今回の経験が教えてくれました。股関節の痛みを経験したことは、僕にとって不自由な時間でもありました。でも今では、「これからの人生を支えてくれる、最高にありがたい贈り物だった」と思えるようになりました。

これからも、自分の身体を愛おしみ、感謝しながら。そして、丹田を意識しながら、一歩一歩、歩んでまいります。皆さまも、どうぞご自身の身体の声に耳を傾けながら、健やかな日々をお過ごしください。

それでは皆さま、今日も感謝を込めて。
本当におかげさまです。

いつもありがとうございます。   着物923(くにさん) 拝