いつもご覧いただきありがとうございます。着物923です。
今日は、まくら無しでスタートします😀
今回、根津美和子さんの工房を訪ねて、作品を拝見し、いろいろなお話を伺いました。
第1回では、根津さんのお人柄と、織りへの情熱について。
第2回では、「縦」へのこだわりや、植物からいただいた色、そして花織などの技について。
そして第3回では、国画会という自由な世界の中で、「自分の布」を追い求めていく姿勢についての内容でした。
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そして今回は、3回の連載を終えたところで、僕自身が感じたことを、もう一つだけお話ししたいと思います。
「染織家・根津美和子展」のご案内のハガキには、下記のような文言を入れさせていただきました。
「水面(みなも)のきらめきを、作品に。」
でも、根津さんご本人から「海を表現したいんです。」と伺ったわけではありません。
あくまで、工房を訪ね、作品を見て、お話を聞いて感じたことです。
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根津さんがお住まいの高松は、海のすぐそばです。「海の近く」という言葉では、ちょっと足りないくらい。
堤防を挟んで、本当に目の前が海です。そのような場所で、根津さんは暮らしていらっしゃいます。
そして、根津さんはお花もとてもお好きな方です。
自然の中にあるものを愛し、植物から色をいただき、その色を糸に染めていく。
ひょっとすると、機(はた)に向かいながら、すぐ目の前の海から聞こえてくる波の音に耳を傾けていらっしゃることもあるのかもしれません。
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そんな根津さんの作品をしばらく見ていると、海の水面(みなも)が浮かんできます。
これは僕の勝手な想像ですが、光を受けてキラキラと輝き、風が吹けば表情を変える水面。その揺らめく光のような美しさが、根津さんの綾織の中に感じられます。
根津さんは、最初から「綾織を織ろう」と決めていたわけではないそうです。
いろいろな織りを研究し、試行錯誤を重ねる中で、「綾織」をやりたくなって、その表現方法にひかれていったそうです。
そして今では、根津さんの作品には、綾織の作品がとても多くなっています。縦(たて)糸にこだわり、綾織の美しさを追い求める姿勢は、染織界でもひときわ際立っているように思います。
そこに、根津さんならではの「こだわり」や、追い求める「美」があるのではないでしょうか。
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綾織は、光の当たり方によって布の表情が変わります。同じ布なのに、見る角度が少し変わるだけで、明るく見えたり、陰影が生まれたりします。
まるで、水面に光が差し込んで、キラキラと表情を変えているようです。
着物が好き、織が好き、そして「綾織が好き」……。
その一途な「好き」が、長い年月をかけて、根津さんだけの表現になっていったのでしょう。
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今回の展示会のご案内状には、
「着る。仕立てる。染める。織る。
水面のきらめきを、作品に。
綾織を追い求め、たどり着いた美。」
と書かせていただきました。
僕が工房を訪ねて感じた根津さんの世界を、できるだけ一言で表そうとした言葉です。
実際に作品をご覧いただいたら、
「なるほど、くにさんが言っていたのは、こういうことか!」
と思っていただけるでしょうか。。。
あるいは、「私はまた違うものを感じるわ。」
と、まったく違う見方をされるかもしれません。!
それも、作品を見る楽しさだと思います。
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9月23日から27日まで、「きものサロン和の國」で、根津美和子さんの作品をご紹介させていただきます。
ぜひ、近くでご覧ください。
光の当たり方を変えてみたり、少し離れて眺めてみたり、そっと手に触れてみたり。
一枚の布の中にある、色と光と織りの表情を、ゆっくり楽しんでいただけたらと思います。
僕自身も、今回の展示会で、皆さまと一緒に根津さんの着物・名古屋帯をもう一度じっくり見てみたいと思っています。
海のそばで暮らす一人の染織家が、長い時間をかけて追い求めてきた「綾織」。
その布に宿る「水面のきらめき」を、ぜひ実物で感じてみていただければ嬉しく思います。

