和の國ブログをご覧の皆さま、こんにちは。
「熊本ゆかりの染織作家展」実行委員の安達絵里子です。
もう暑さの話題をしたくないような日々が続いておりますが、いかがお過ごしでいらっしゃいましょうか。
私は、今、ほんわかと幸せに包まれたような気持ちがしております。
「熊本ゆかり便り」のおかげです。
早速にご紹介しましょう!
昨年の「第3回熊本ゆかりの染織作家展」に出品された、島崎澄子さん作の友禅染帯をお召しになったMさまです。
お顔を含めたおきもの姿のほうが断然ステキなのですが、ここではご遠慮して帯回りだけのご紹介とさせていただいております。
絽縮緬地を抹茶ミルクとでも言いたいような優しい白緑色に染め、ドクダミの花を友禅染で表しています。
きものは小千谷で織られた綿麻。黒地に細い白が通った、遠目には無地に映るシンプルなきもので、帯の個性を引き立てています。
帯留は、なんとも涼しげな翡翠色。
帯地よりも濃いグリーンが爽快です。
帯留は、Mさまのお母さまのタンスから発掘?された、台湾みやげの練り物だそうですが、三分紐を通して帯留にされた「見立て」のおしゃれがなんともステキです。
Mさまのお人柄もあり、こうして拝見しているだけで、ほんわかと幸せな気持ちになりますでしょう?
Mさまに、この帯の魅力を語っていただきました。
「絽縮緬という素材が珍しく、前から欲しいと思っていたのです。
和の國さんで見かけて、色も柄も気に入って求めました。
レトロ・モダンとでもいいましょうか、クラシックな感じでありながら古くさくありません。
おそらく挿し色に使われた強い赤紫と青緑のビビッドな色が効果的なのではないでしょうか。
地色や配色は落ち着いた古典感覚ですが、挿し色で普通きものには用いない色を使うことで、おしゃれな感覚に仕上がっていると思います」
そうそう、島崎澄子さんも作品解説をしてくださったとき、パリコレとか世界のファッションにも関心を持って見ている、とおっしゃっていました。
また、絽縮緬という素材に注目されたところもスゴイです。
確かに、現在夏の染め帯に使われる生地は、さらりとした地風の絽塩瀬が多く、
縮緬ならではの情趣がある絽縮緬地は、あまり流通していません。
絽縮緬地は、そのぽってりとした感触から、きもの地に使われる場合、ひとえのきものの後、盛夏用の三本駒絽や紋紗のきものの前に用いるのが昔ながらの着方です。
帯地の場合も、比較的早い時期から締められ、Mさまは4月から6月初め頃までに締めていらっしゃるそうです。
もちろん、今の時代、7、8月の盛夏に用いてもルール違反にはなりませんが、きもの通のMさまは気候と生地の相性を敏感に感じ取って着分けをされています。
さらに、Mさまは9月の初秋ではなく、主に初夏に締めていらっしゃるのだとか。
ドクダミの開花が5~7月といいますので、季節的にもぴったり、なんておしゃれなのでしょう。
「熊本ゆかりの染織作家展を初めて見たとき、『おしゃれだな』と思いました。
染織作家の方は東京や福岡などの都市にいらっしゃるのかなと思っていましたので、熊本にこんなおしゃれな作品を作られる方がいらっしゃるとは、とうれしく思いました」
と語るMさま。
島﨑澄子さんの染め帯だけでなく、「第2回熊本ゆかりの染織作家展」では、堀絹子さんの手織り木綿もお求めいただいております。
「季節が合うので、堀先生の木綿に、島崎さんの染め帯を合わせて着ることもよくあります。
目の肥えた県外の方にお会いするときに『熊本の作家さんの作品なんですよ』と話題にもなります」とのこと。
なんと「熊本ゆかり」コンビでコーディネートしてくださるとは!
うれしすぎて身もだえしてしまいます。
「熊本ゆかり」作品は、おしゃれで、着る人・見る人を幸せな気持ちにさせてくれるだけではなく、話題をも提供してくれるのですね。
Mさま、ありがとうございました。
作者の島﨑澄子さんはご親族の介護に専心するため、前回の「熊本ゆかりの染織作家展」をお休みされました。
しかしその方が快方に向かわれているとの朗報をお聞きしておりますので、次回は島崎さんの作品を見られるかもしれません。
長い人生、いろいろなことがあります。
作品制作に集中できない時期もあるでしょう。
でもそんな日々を乗り越えて、「新たな視野を得た」とおっしゃる島崎さんを、私たちは陰ながら応援し、次回作を気長にお待ちしたいと思います。
「熊本ゆかりの染織作家展」、次回はいよいよ節目の第5回を迎えます。
2015年1月3日(土)~6日(火)の予定です。
どうぞお楽しみに!