同じ結城紬でも、今日はもく糸使いの高機の結城紬に袖を通した。色は、大好きな蓬(よもぎ)色を少し濃くした感じ。糸はウグイス色と常盤(ときわ)色を使っているようだ。やはり地機の結城紬と比べると重くて固い。味比べならぬ、着比べだ。同じ産地の結城紬なのに、高機と地機では本当に違う。この高機の結城紬を求めたのは、10年以上前だと記憶している。京都の仕入先より「まずは、高機を着て。あんたは、それで充分」と言われ、ぼくは信じた。匹物だったので、袷と単衣仕立にした。しかし、一回袖を通したが最後。固い。体に添わない。ごわごわしている。そして何度洗張りをしても軟くならない。でも今も着ている。今日も着た。ぼくはそれ以来、一度もそれはお勧めしていない。そして、疑問を持ちながらも着続けることで、重要無形文化財の結城紬の地機でも、糸の取り方、季節などでも雲泥の差があることが分かってきた。やがて、「室町の加納織物」という業界のパイオニアに出会った。そして、全てにこだわりを持ってやっている先が、特に宮﨑織物、藤貫織物などということが、時間と共に分かってきた。特に今回、大島紬もそうだが、宮﨑織物などの上質の結城紬が入荷している。お客様も確かな品質の洗練された柄行きにご満悦。ぼくも、目にあやだ。見ているだけでも、心が豊かになるが、やっぱりさわってみると、地入れ前なのに、はや生地が微笑んでいる。ぼくは、幸せものだ。 夜は、第3回武遊学会に出かけた。総務省の元熊本県副知事の黒田武一郎氏との再会も心待ちにしていた。本も新春に出版なさるという。A4用紙(1200文字)を一日で40枚。昨年のゴールデンウイーク中に書き上げたそうだ。ぼくの心に、ギネスブックと書かれた。兵谷芳康副知事には、来年3月の「きもので祝う全線開通」の企画について。また、寺崎秀俊熊本副市長には、「着物着用なら、熊本城や美術館割引」の取り組みについてお知恵を頂いた。短い時間で深い学びができ、ぼくにとって忘れられない一日となった。