朝から身体に違和感を覚える。足が棒のようだ。高校時代で兔飛びで鍛錬させられた時の感覚と似ている。緊張と使い過ぎが原因か。昨日、お仕舞三昧だったことに気づくと、ホッと一安心。東京最終日、初日同様、襦袢は10年以上前京都日航プリンセスホテルからもらった浴衣の上に、単衣のみさやま紬を着てその上に紗羽織を重ね、帯は辛子色の七福神柄、足袋は十八番のトンボ柄というコーディネイトで、新橋演舞場で開幕中の「錦秋十月大歌舞伎」の観劇に出かけた。きもの姿も多数見受けられ、お洒落さんもたくさん集っている。やはりこの環境は良いものだ。「何で着物?」という目で見られないだけでも有り難い。 熱気に包まれる中、大向こうがかかる。三階席ならそれもまた楽しみの一つ。「大和屋!」「音羽屋~」「成田屋っ」などの屋号で呼ぶのが一般的だが、「二代目」「十代目」などの掛け声もあり、観客と一体化していく。昼の部の見所の一つは、坂東三津五郎と巴之助による「連獅子」。それも、クライマックスとなると緊張感も走る。見ている方も手に汗握る展開。圧巻だ。「大当たり!」と女性の声がかかった。極上の褒め言葉だ。京都や福岡とは、また雰囲気が違う。東京に歌舞伎がしっかりと文化として根づいているように感じた。「大~当たり!」のおかげで、歌舞伎を深く知りたくなった。いや、本当は知らない事がどんどん増えていく。