2ヶ月目になるスタッフが病弱で欠勤の為、朝から作務衣を着て店の掃除に勤しんだ。ドアを開けると秋の冷気が入り清々しい気持ちになる。掃除機をかけ、窓ガラスを拭いていると自分の心を洗っているようだ。改めて健康で仕事が出来る事自体、尊い事であることに気づかされる。 また徳島県の「本藍染の作務衣」を着ているが、本当に着ごごちが抜群だ。「作務」をするための「衣」、本当にその通りだ。かれこれ20年前、20代後半。「きもの宣言」する前、作務衣にもの凄く凝った。本藍、デニム、中国製などなどありとあらゆる作務衣をきてみた。よりよりものを探すため、実際、徳島県に出向き、自分で探し当てたのがこの作務衣だ。「大当たり!」生地がしっかりしている。着込むほどに体になじんでくる。しっかり染めてあるので色落ちもしない。ほのかに香る藍の匂いは男の匂いがする。これ一本だ。 改めて10時過ぎ、ウール(グレー地・千筋)の着物に市松文様の角帯を締め店に入った。自分で満足いく掃除が出来ているので、店も商品もお花も、より輝いて見える。夕日を背にし、熊本の染織家を訪れた。着物談義に花が咲く。大器晩成のお付き合いとなりそうな予感がした。