一年少し前よりご縁を頂き、ここ一年でぐっと仲良くなった「和さん」というお客様と、山鹿の「八千代座」に出かけてた。和さんは、「明日は何を着るのですか?」とお尋ねになったが、日々着物なので「明日は明日の風が吹く」という感じだ。みさやま紬(地色・桜、蘇芳横糸、無地感)、帯・根津美和子作花織とお聞きしていたので、私もみさやま紬「茶鼠」に金茶の荒磯文様の帯を締め、漆黒の紗羽織をきた。見た目には分からない、こっそりペアルックだ。 お昼は、フランス料理店「ビストロ シェ・ル・コパン」で食事をし、備前街道を散策した。一人で行くなら歌舞伎だけが目的だか、その前後のゆとりの時間が素晴らしい。柱時計がボーンボーンと時を刻んでいうように、ゆっくりとした時間が流れていく。和さんの自宅にも上げてもらった。自他共に認める「お片づけママ」だけあり、細部にまで整理整頓が行き届いている。ここでもまた、空間の使い方がお洒落だ。まさに、一つ一つが絵になり「余白の美」を演出してくれている。ご自宅に観音様、ほとけさまも鎮座されており、五十近くになって、神様・ほとけさまの違いも理解できた。そして、またその具体的な拝み方がより明瞭になった。 1)ご先祖様に感謝する為に、朝から仏様(ご先祖様)にお茶を上げ、夕刻そのお茶を土にかえす。2)頂き物・初物などは、まずご先祖様I(仏様)にあげ、ご先祖様が頂かれた後に私達が食する。我が家の習慣と若干変っていた。しかし、この二つのことなら、明日から出来そうだ。また父母にも理解してもらった。そうやって小さなことの繰り返しが、親先祖への感謝の心として芽生えてくるのだろう。 歌舞伎はもちろん、大当たり!坂東玉三郎さんの静に対し、中村獅童さんの動が絶妙だ。ここにもまた、時を超えタイムスリップしていく自分があった。