和の國ブログをご覧の皆さま、こんばんは。着付け大好き、緒方麻由子です。

只今、和の國には、お客様からのご注文がございまして、夏の附下げを展示いたしております。夏物特有の透け感が美しく、夏物ならではの柄ゆきも、一つひとつ見ていて楽しさを感じます。
今日のお写真は、その中の一点・上前の部分を接写してみました。


熊本市中央区 着物専門店 わのくに

柄名は『虫かごにトクサ』だそうです。『虫かご』ときくと、今は夏休みの虫取り(カブトムシやクワガタなど)を思いがちですが、江戸時代には、秋を思わせる虫の声を聴いて涼を感じる、「虫聴き」という習慣があったそうです。こちらの虫かごは、竹細工でしょうか。よく見ると、屋根部分の曲線が繊細に描かれています。

また、『トクサ』は、夏ごろから出て秋に刈り取ると言われています。夏の着物や帯の柄に多く使われるそうです。所々に節があり、その姿は竹をとても細く、小さくしたようにも見えます。すっと伸びた佇まいからは、華やかな花にはない詫び錆びが感じられます・・・。
その他、『萩』や『菊』も、秋を表す文様です。

私自身、「着物は季節を先取りする」ものだと、なんとなく頭に入ってはいても、「そういうルールだから」と思いこんでいる部分がありました。文様の勉強を始めた今は、四季の移ろいや変化が明瞭な日本ならではの感性、ということを、以前より少しはわかるような気がいたします。

また、草花の命を待ちわびて、儚い美しさを存分に味わうことのあらわれでもあるのかな、とも思います。秋草文様のお着物を見ていると、心なしか、秋風を感じるような・・・少し物思いにふけるような気持ちにさえなるから不思議です。これも、着物の持つ魅力、なのかもしれません。



私は、明日から“お盆休み”をいただきますが・・・
和の國は、15日火曜日は定休日なのでお休みで、それ以外は変わらず通常営業でございます。かえって、お盆期間の方が、ごゆっくりお過ごしいただけるかもしれません。ぜひ、お近くへお越しの際は、お立ち寄りくださいませ。

本日もお付き合いいただき、ありがとうございました。
明日も、どうぞ健やかな一日をお過ごしください。